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DESIGN

ジョナサン・アイブに聞く《iPhone X》のデザイン哲学とは?

『カーサ ブルータス』2017年11月号より

October 10, 2017 | Design | SPECIAL INTERVIEW | interview & text_Kunichi Nomura editor_Akio Mitomi

9月12日のスペシャルイベントで発表された《iPhone X(テン)》は、今までにない進化を遂げた。新たなデザインやテクノロジーとの関係について、ジョナサン・アイブに独占インタビューを敢行!

Jonathan Ive1967年英国ロンドン生まれ。ニューカッスル工科大学で工業デザインを学び、英国のデザイン会社数社を経て、92年アップルに入社。96年からデザインチームを率いてiMacやiPodなどの画期的な製品を世に送り出す。ディーター・ラムスに通じるシンプルなデザインと、生産工程まで見直す妥協のなさで、チーフデザインオフィサーとしてティム・クックとともにアップルを牽引。
Jonathan Ive
1967年英国ロンドン生まれ。ニューカッスル工科大学で工業デザインを学び、英国のデザイン会社数社を経て、92年アップルに入社。96年からデザインチームを率いてiMacやiPodなどの画期的な製品を世に送り出す。ディーター・ラムスに通じるシンプルなデザインと、生産工程まで見直す妥協のなさで、チーフデザインオフィサーとしてティム・クックとともにアップルを牽引。
ノーマン・フォスターの設計で米カリフォルニア州クパティーノに完成した新本社〈アップルパーク〉の一角、〈スティーブ・ジョブズ シアター〉のこけら落としとして開かれたスペシャルイベントの直後、野村訓市がジョナサン・アイブにインタビューを敢行。テーマはもちろん、発表されたばかりの《iPhone X》だ。

Q 初代iPhoneをデザインしたときのことを覚えてますか? 《iPhone X》よりはるかにテクノロジー上の制約があったと思うのですが。

初代のiPhoneをデザインした際の最重要テクノロジーはマルチタッチで、それに関連した部品がたくさんありました。指による操作を可能にしながら、妥協なく自然に使えるディスプレイを持つハードウェア。それは大きな挑戦でしたし、人とマシンを結ぶためのユーザーインターフェイスのデザインもありました。ですが、それこそが大きな発展をもたらすものでした。初代iPhoneは、従来なかった方法で3つの機能 ー 電話、インターネット、音楽を提供するものとして登場しました。それが10年たつ間に、完全に違うものに変化してきました。最初は確かに電話での通話にiPhoneを使っていましたが、FaceTimeでビデオ通話を使い、メッセージに絵文字を使い、今やAnimojiさえ使えるようになりました。私たちは今や、人とのつながりやコミュニケーションの手段として、非常に多くの選択肢を持っています。興味深いのは、歴史を振り返ると、社会における革命的な出来事の多くはコミュニケーションの変化に関連しているということです。さらに、様々なコミュニケーションの形が極めて流動的に、ものすごい速さで変化してきたことは本当に驚嘆に値します。その根底にあってすべてを変えたのが、マルチタッチだと思っています。さもなければ、今あるようなアプリの数々も生まれることがなかったのですから。
2007年1月9日、スティーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表。日本では翌08年、2代目の《iPhone 3G》がソフトバンクから発売された。
2007年1月9日、スティーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表。日本では翌08年、2代目の《iPhone 3G》がソフトバンクから発売された。
Q 10周年に新たなiPhoneを発表するにあたっては、プレッシャーがあったと思いますが。

そうですね(笑)。ただデザインチームやエンジニアチームにとって、よい仕事をしようとすれば、プレッシャーはいつもあるものです。期待されていることは移り変わるものだと理解していますが、私たちが心がけているのは、常にベストの仕事を、できる限り行ってみせようということです。
発表会場となった〈スティーブ・ジョブズ シアター〉。円筒状に並んだ巨大なガラスパネルに屋根が載っている。
発表会場となった〈スティーブ・ジョブズ シアター〉。円筒状に並んだ巨大なガラスパネルに屋根が載っている。
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